July 07, 2005

一頭だけのファン感謝デー

ブナ2

同じ動物の前に一時間も居続ける私は明らかに長居のし過ぎですが、多くの来園者は動物一種類あたりの滞在時間が短すぎるのではないでしょうか。

江戸川区自然動物園のブナ君は気が向くと「ファン感謝デー(タイム)」を設けてくれます。
それはもう、観客一人だけを何秒間もジーッと見つめるのです。
普段レッサーパンダは来園者を目に留めることはあっても、興味が続くのは一秒以下。
いや、大抵は目にすら入っているのかいないのか程度の興味の薄さです。

だから秒がカウントできちゃう位、一人の人間だけを見つめ続けるというのは滅多にある事ではありません。
そしてまた、サッとやって来てササッと立ち去る人をわざわざ見つめるような事もしないのです。
何分間か同じ所に立ってずっと観察し続けている人を、何かの拍子に認識して「アナタずっと観察してるよね、ボクも真似して観察するもんね」とばかりに見つめるのです。

「ファン感謝デー」だからどんな芸を見せてくれるのかと思われましたか?
でもレッサーパンダと何秒も見つめ合う体験は、なかなか出来る事ではありません。

ブナ

この写真は私ではなく他のニンゲンを観察するブナ君。
後ろ足が片方上がっているのは、直前に頭を掻いたから。
頭を掻く前も後も、同じ人をずーっと見つめていました。

ブナ君の「ファン感謝デー」は、実は大勢の来園者に囲まれている時には起こりません。
またブナと自分が一対一の時にも何故か起きる事はないのです。
それは不思議とブナ君が観察する人と、それを端で見ている第三者がいる時に起こります。

そしてブナ君の観察対象が私である場合、大抵はカメラを構えているので、それを端で見ている第三者は毎回判を押したように「レッサーパンダがポーズ写真を撮られるのを待ってるよ」と言います。
何秒もカメラ目線を続けてくれるので、写真は撮り放題です。
こうして本日一枚目のような写真が出来上がるのです。

以前、他所の動物園の講習会に参加した時、学芸員の方が「なるべく一種類の動物を長く観察し続けるよう指導している」と語ってくれました。
その言葉にはとても納得できます。

長い時間観察を続けていると、色々なものが見えて来るのです。
動物達の個性も感じられて来ますし、さっきまでずーっと同じ行動を繰り返していたのに突然、見た事もないような意外な行動を見せてくれたりもします。

騙されたと思って一度、同じ動物の放飼場(あるいは檻)の前で30分間粘ってみませんか。
Posted by redpanda at 07:07 P | from category: 江戸川区自然動物園 | TrackBacks
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