July 01, 2005

新カテゴリ開設にあたり

(この記事は7/10に作成し、日付を遡ってアップロードしました)
新カテゴリ「赤ちゃん&移動情報」を開設するにあたり、自分への戒めのためにこの記事を残しておく事にします。

上野動物園で6月上旬に生まれたカナダヤマアラシの赤ちゃんが本日(2005/7/1金曜日)、死亡したとのこと。
目立った外傷はなく原因不明らしい。

カナダヤマアラシ1

その前日の6月30日、実は私はこのカナダヤマアラシの赤ちゃんを見ていて、その愛らしさにまた会いに来たいと考えていたりしたのです。
その時、私にはとても気になる事がありました。
それはカナダヤマアラシの母親が授乳のために木から降りて来て、結局授乳をせずに再び木の上に戻ってしまったことでした。

母親が木から降りてくるのを待ちわびたかように、母親にすがりつく赤ちゃん。
それを写真に収めようとカメラを構える私。
すがりつく赤ちゃんを振り切って、歩き回る母親。
一生懸命に母親の後を追う赤ちゃん。
それをカメラで追う私。

「もしかして母親は人間に見られるのを嫌がってる?」
そう私が気付いてカメラを下ろして後を追うのを止めてから間もなく、母親は木を上って行ってしまいました。
横で見ていた他の来園者が「今日は授乳をしなかったなぁ…」と呟いた時、初めて私は母親が授乳の為に木から下りて来ていた事を気付かされたのです。

その日は朝方まで雨が土砂降りで、カナダヤマアラシのエリアは地上に置かれた巣箱が中までびしょ濡れで入れず、私が見ていた間はずっと赤ちゃんは湿った土の上で丸くなっていました。
それに加えて授乳がされなかった事、それを邪魔したのが自分かも知れない事が気になり、「早く数日が経過して、どこかのサイトで“今日もこんなに元気でした”という情報が読めればいいな」と自分の弱い心をごまかしていました。

そうして入って来た死亡のお知らせに、私は本当に打ちのめされました。
もちろんカナダヤマアラシの赤ちゃんが亡くなった原因が自分にあるなんて、そこまで自意識過剰なことは考えていません。
でも「あの時、授乳できていたら何かが変わっていたのか」という思いも捨てきれません。

昨年の秋、江戸川区自然動物園でレッサーパンダの赤ちゃんが公開された時、私は写真を沢山撮影しましたが、出来上がった写真を見てギョッとしました。
赤ちゃんの横で、母パンダのユウユウがこっちを睨んでいる!
写真の中心には赤ちゃんが写っていて、その片隅に写り込んだユウユウが目を吊り上げてこちらを見ている写真がどれだけ多かったことか。

進化の過程で人間の手が加わらなかった野生動物たちは、例え動物園で飼育されていてもペットとは異なります。
本来なら人間の手を必要としない動物の母親が赤ちゃんを連れている時、人間に対してどんなに過敏な状態に陥るか、私には思いやりも想像力も欠如していました。
暑さに弱いというカナダヤマアラシのあの赤ちゃんは、昨日私が上野動物園に行かなくても翌日には亡くなったのでしょう(冷たい表現で済みません)が、江戸川Zooでの一件があったので、より一層今回のカナダヤマアラシの母親の授乳拒否も、その場に居た自分の浅はかな行動との関連を意識せずにはいられませんでした。

今度子供を連れた母動物を動物園で見ても、写真は少しだけに止めておいて離れた所からそっと見守ろう、と自分を戒める次第です。
動物園を後にする時に後悔を残さないように。


カナダヤマアラシ2

動画再生QuickTime形式/5.1MB(動画の再生時間は約10秒です)
(動画の掲載期間は終了いたしました)
Posted by redpanda at 11:36 P | from category: 赤ちゃん&移動情報 | TrackBacks
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