January 04, 2006

動物園で右脳を鍛えよう!

年頭のご挨拶に代えて、駄文・長文を掲載する事をお許し下さい(構想一ヶ月、文書化3日)。

「右脳を使って能力アップ」などという内容の書籍が昨今チラホラと出版されているようです。右脳に刺激を与えるという練習問題を解いて、右脳が得意とする発想力を向上させ仕事に活用することが目的だとか。しかしそもそも、本を読み問題を回答して右脳を活性化すると考える時点で、アプローチが間違っているような気がしてなりません。

左脳が得意とするのは計算、数字化、統計、分析、設計、科学で、目に見える世界に対応しています。右脳は知恵、思い遣り、感動、芸術、創造力、ひらめきを得意とし、見えない世界に対応していると言われています。実際の社会は管理能力や論理性、計画性、マニュアルの遵守が重要視される極端な左脳寄りの社会といえるでしょう。

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NHKの旭山動物園特番の中で動物園の方が「女性や子供は動物たちを見て歓声を上げることも多いけれど、ペンギン館でペンギンの水中飛行を見て男の人が『ワァッ』と歓声をあげた」という話をされていました。動物を見て思わず歓声をあげるというこの時の反応は、右脳が刺激を受けたことに他ならないと思うのです。

なぜならこれは左脳が得意とする計算や論理、定義等とは全く別次元の刺激ではありませんか。そしてテレビやゲームで受動的に与えられるのでなく、自分がその場に身を置いて感じられる感動こそ右脳を刺激するものではないでしょうか。

旭山動物園に代表される昨今の動物園の新しい展示方法は最も右脳に刺激を与える展示だと思いますが、北海道まで行かなくても近場の動物園でも動物たちをじっくりと観察する事で、小さな「アッ」という刺激は沢山受けられるのです。小さな「アッ」を重ねていくことで右脳はどんどん刺激を受けて活性化するのではないか、――これが私のヒラメキです。

観察は時間がかかります。でも現代は時間をかけてじっくり行なう事が少なすぎると思うのです。職場も学校も左脳偏重の社会は、すぐに結果を求め、規則や規律で効率的に物事を処理し、じっくりと感じるということを軽んじているように思います。時間をかけて何かを行なう事もまた、能力開発と無関係とは思えません。

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「センサーテスト」という、一人一人の「利き脳」を測定する手法があります。身体に電極を付けて、多くの質問に対してその人が左右どちらの脳をより多く使って考えているかを測定する方法です。今月から再々々就職活動を開始するにあたり適性検査も兼ねてこのテストを受けてみた結果、私は右脳タイプとのことでした。右脳タイプが得意な分野といえば冒頭にも書いた通り創作活動や企画など発想力を活かすことですが、もう一つ共通する特徴として「自然や動植物との関わりを好む」というものがあります。

そんな右脳タイプの私と、私のデザイナー仲間で「どう見てもこのコは私より更に右脳が勝ってるわ」という人(サンプリングがショボくて済みません)、二人の右脳タイプに共通して言えるのが「動物の観察眼の細やかさ」なのです。動物のちょっとした顔の角度の違いや目線が伸びた先に敏感に反応してしまうのです。その反応たるや周囲の人に言わせると馬鹿馬鹿しいレベルのようで、私のブログも職場の人に言わせれば「一頭のレッサーパンダの写真が右から左から上から下から斜めから、ちょっとずつ角度を変えて掲載されている」だけのものなのだとか。そんな多くの人からはどうでもいいと感じられる動物の些細な仕草に反応できる感性の鋭さは、右脳の働きなのではないかと自分では感じています。

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遊園地が併設されている動物園に違和感を覚える事はありませんか。子供の頃は遊具で遊ぶのが楽しくて動物そっちのけで遊んでいた私ですが、大人になって動物たちを時間をかけて見る事に楽しさを感じるようになると、併設されているジェットコースターやゴーカートがとても異質の物に感じられるようになりました。

右脳が活性化する動物園と、右脳を全く必要としない刺激的な大型遊具を集めた遊園地を並べるという組み合わせこそ、脳の働きを無視したセンスのない選択だと思います。動物園=娯楽施設となされてきたことによる弊害がここにも出ているようです。また、この組み合わせは発育途中の若い脳にも混乱を及ぼすかも知れませんね。

動物園で右脳に刺激を受けたら、その刺激を大切に家まで持ち帰って余韻を大切に暖めて欲しいと思います。そして、遊園地が悪いと言うのではなく異質の施設として場所を離して運営した方がいいのではないでしょうか。

動物園や水族館、植物園、緑の豊富な公園に通う事で右脳に刺激を受ける、更には能力を開発する、才能を伸ばす。これらの場所が癒しの目的だけでなく、もっと能動的な意義と可能性を持つ場所であることに少しでも人々が注目してくれることを願いながら年頭の辞とさせていただきます(長いって!)。また、もっと論理的に人間の脳と動植物園の関係を追求・分析できる方がいらっしゃれば、この題材を更に深めて研究して下さい。

↓私の動物園ライフそのものが始まるきっかけとなった、江戸川区自然動物園のレッサーパンダ、ブナ君(最近ちょっと悪者気味)。
緑の中のブナ
一人の人間の右脳を目覚めさせた素晴らしいパンダ。

みなさま、本年もよろしくお願い致します。
Posted by redpanda at 09:20 P | from category: Main | TrackBacks
Comments

げろっぱ:

『NHKの旭山動物園特番』見てました。
すごーく行きたくなりました。

世の中、左脳が秀でた方が生きて行きやすいですよね。
特に、通常の事務職ならば。
会社は結果しか残らないし。
結果残しても、ペーペーは名前すら残らないし…
再々々就職活動ですかぁ〜
私は4月から動きます。
その前に、右脳でも左脳でもない見た目を磨かないと、写真で危ういです(>_<)
(January 05, 2006 12:11 P)

ぴっぴ:

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくm(..)m

旭山Zooは動物園に行き慣れていない人、動物慣れしていない人に「見る事」あるいは「見方」を教えた点については大きく評価できると思います。
ただ、残念なのはそれが単に旭山賛歌に終わってしまっている事。
見る事を知ったのならば是非他の動物園でもそれを実践して欲しいし、また、自分なりの見方もして欲しいんですよね。
旭山では珍しい展示方法につられて長い時間「待って」見る事をするのに他園ではものの3分と待たずに通り過ぎていく。
これでは動物達の良いところは見れませんから…
言いたい事はまだまだあるのですがあまりに長くなりそうなのでここまででm(..)m
(January 05, 2006 06:46 P)

hide:

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

動物園と脳の関係なんて、全く気にしたことはありませんでした。
おもしろいですね。
確かに世の中は左脳を使う機会が多いので、右脳を鍛えるとバランスがよくなるんですね。
でも私の場合、チェックしてみたら「極端に右脳へ偏ってます」でした。
単に頭が悪くて論理的な思考が出来ないだけだと思いますが、動物園で鍛えられたのかもしれません。
ところでレッサーパンダ達に右脳左脳はあるんだろうか?
(January 05, 2006 11:08 P)

中山:

あけましておめでとうございます!
今年も可愛いパンダ達の写真を宜しく
お願いします〜。
私の場合はどっちの脳を使ってるかなぁ〜どっちも酷い状態かもしれません(笑)
パンダよりも小さい脳かも……。
(January 06, 2006 08:36 P)

yo-co:

げろっぱさん
この記事には誰もコメントを入れないんじゃないかと危ぶんでいたのですが
いの一番に反応をありがとうございます。
世間は右脳の時代と言いつつ、それは左脳的な仕事をきちんとこなせた上での
話なんですよね。
でも右脳が利き脳の人が無理に左脳を使っていると右脳も働かなくなるんですって。
困ったモンです。
げろっぱさんは4月から活動開始なんですか。
ブログのあの楽しい語り口が就職活動でも発揮されるといいですね!
(January 06, 2006 11:28 P)

yo-co:

ぴっぴさん、
語られなかったその先は、別の機会に是非お聞かせ下さい。
旭山動物園が観光地の一つと化しているのは、確かに残念です。
それとも数は少なくても「展示のファン」ではなく「動物のファン」になって
くれた人々もいるのかな。
そういう人々にどんどん声を上げていって欲しいですね。
全員に動物園が好きになれなんて言わないけれど、教育の場としても
思索の場としても、そしてまた心の洗濯場としても動物園はもっと
高い評価を受けてもいい所だと思うのです。
(January 06, 2006 11:55 P)

yo-co:

hideさん、
おおお!右脳タイプという人は少数派らしいのに、更に極端に右脳が強い
というのはもしかすると絶滅危惧種レベルではないですか!
私のこんなヘナチョコ記事にコメントを付けてくれた強者が複数
いらっしゃっただけでなく、レッサーパンダの右脳左脳とは、また新たな発想です。
さすがhideさん、絶滅危惧種レベル。
ちなみにレッサーパンダ達は右脳オンリーのような気がしませんか。
金勘定もしないし、筋道立てた論理も要求しないし。
(January 07, 2006 12:11 P)

yo-co:

中山さん、
> パンダよりも小さい脳
一瞬、吹き出してしまいましたよ。
夢見の明明に目をつけられる辺り、既に充分右脳が活性化されているのでは?
更にお近くの動物園で楽しい部分をどんどん開拓して、ついでに右脳も
ブラッシュアップで一挙両得と行きましょう!
人間に対してこんなに沢山のものを与えても、動物たちは文句一つ
言わないんだよなぁ…。
(January 07, 2006 12:18 P)

げろっぱ:

「レンタルサーバー」が「レッサーパンダ」に見えてしまう状態だったので、こんなにも世間は右脳ブームだったのですね。
診断テストやってみましたよ。
「あなたはほとんど右脳・左脳のバランスがとれています」でした。
道理で経理部で浮くはずだよ。はははっ。
(January 08, 2006 12:21 P)

yo-co:

げろっぱさん、
おお!見事な読み違いですね。
げろっぱさんのレッサーパンダ症候群の感染は根が深いようです。
ワクチンはないので自然治癒を待つしかありませんが、もしかすると
一生治らないかも知れません。どうぞお大事に〜(病気仲間より)
(January 09, 2006 12:21 P)
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